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私の視点『ゼレンスキー大統領の国会演説を聴いて思うこと』
皆様ご存じのように、ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、日本の国会で、と言っても議事堂ではなく議員会館のホールでしたが、オンライン演説を行いました。
これについてさまざまな疑問が頭に浮かびました。
先ずは、なぜ国会の象徴である議事堂で行われなかったのか?ということです。
前例のない今回の演説だけに、何か意図的なものがあるのかとある国会議員に聞いたところ、お粗末なことに設備の問題だったとのことです。大型モニターが設置されておらず、持ち込むこともできなかったのです。
このITの時代に、〝技術大国〟を自負する日本の立法機関で、これまでモニター設置を考えたことも無かったとは驚きです。
また、嘘のような話ですが、その議員によると議場のフロアにアウトレット(コンセント←和製英語です、念の為)も無いそうです。
演説に向けて当然事務方による内容の打ち合わせなり、両首脳による話し合いが行われていたのだろうと思いましたが、何もしなかったとのこと。
立憲民主党党首の泉健太氏が、
「オンラインで映像を流せるから、全く調整なく認めるというのはあり得ないと思う」
「一般論として、どの国の元首・首脳が国会で演説する場合においても、それは当然、外交上のやりとりがあって、そういうものの中から演説原稿というものが作られてくるものだろうと認識をしている」
と自らのtwitterで書いていますが、まっとうな意見だと思います。
さて、演説の内容ですが、これまで欧米各国を相手に同大統領が行なってきたものとは一転、被ばく国であり、原発事故被害に苦しむ日本人の〝心〟に訴えようと計算されたものでした。「アジアのリーダー」でありたい日本人の心理にもくすぐりを各所で入れてきています。
ただ、この原発に関する指摘は、裏を返せば安全保障面から言うと「原発は危険」と言っているようなもの。逆効果なような気もします。
このような場合、通常はプロのスピーチライターが原稿を書きます。ゼレンスキー氏は自分で書いた可能性があります。
いずれにしてもあらかじめ書いたものを読むわけですが、さすが人気俳優です。読んでいるようには見せませんでしたね。瞳の動きを見れば分かることですが、全てアドリブであったり記憶していたものを〝演じた〟わけではなく、カンペを読んでいます。もちろんそれが悪いと言っているわけでは全然ありません。そう見せない彼のスピーチ能力の高さを評価しているのです。
「国連が機能しなかった」のは、何も今回に限ったことではありません。これまで何百回も多くの国や人々が痛感させられてきたことです。特に、アメリカが先頭を切って拒否権を発動したり、水面下で関係各国に圧力をかけて〝機能不全〟状態にしてきたことは、国際政治にかかわる者であれば知っていることです。
「これからも戦争をしたいという侵略者に対して、非常に強い注意が必要です。『平和を壊してはいけない』という強いメッセージが必要です。責任のある国家が一緒になって、平和を守るために努力しなければならないです」
という部分も〝なるほど〟となりがちですが、「責任のある国家が一緒になって」は、ゼレンスキー政権の場合、「NATO諸国が一緒になって」です。でも、それこそが今回の戦争を引き出した要因なのです。
NATOは平和同盟ではなく軍事同盟です。それを盾にパワーゲームをするのは、今回のように多くの危険を伴います。同政権が拙速にNATO入りを急がなければこのような事態を招くことはなかったのです。
ただ、頭脳明晰なゼレンスキー氏のこと。ここまでは読んでいたと私は見ます。
だから現在までの流れはほぼ彼の書いた筋書き通りだと私は推測するのです。
私がもしゼレンスキー大統領に質問する機会があればこう聞くでしょう。
「大統領閣下 あなたはチェチェンやクリミアで行われた戦争を通して見せてきたロシア軍の残忍さ、冷酷さを知らないはずはありません。独裁者・プーティン大統領を怒らせればどうなるかが分からなかったはずはありません。あなたは戦争をやりたかったのですか?大統領ですから自国民の命を危険にさらさないようにする義務があります。それなのになぜ危険な道を選んだのですか」と。