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2021.09.11 (Sat)  23:04

911同時多発テロから20年

 20年前の9月11日。深夜から翌日まで携帯電話が鳴り続けました。

 TBSの電話番号である事は分かっていましたが、電話に出たり、こちらからかけなおしたりことはしませんでした。同時多発テロの特別番組の出演依頼であることを容易に推察できたからです。

 実は、1990年代前半からTBSに失望させられることの連続で、私はすっかりやる気を失い、5年近く連絡を絶っていたのです。ただ、事件が起きてからのメディア報道があまりにお粗末だったので考えを変えて出演することにしました。

 翌日に出演依頼された番組は2部構成の報道特番で、どちらも筑紫哲也さんが司会進行することになっていました。9月12日夜、局からの迎えの車に乗ろうとした時、携帯が鳴りました。TBSのOBからでした。

「お江戸のテレビに出るんだって?」

 いつもの彼の冗談めかした言い方で会話は始まりました。彼はTBSの報道フロアの異常なまでの盛り上がり方に触れ、発言に気を付けないとつるし上げにあいかねない空気だからねと忠告してくれました。

 これだけを読むと、圧力と取られるかもしれませんがそうではありません。私にとって常に味方だった彼は本心から心配してくれたのです。

 

 彼の言っていた意味は、報道フロアに入った途端、理解できました。私に寄ってくる人達のほぼ全てが「テロリストたちを支援するアフガニスタンを叩け」と言うのです。久しぶりに再会した筑紫哲也さんさえも「アフガン攻撃やむなしだな」があいさつ代わりでした。

 前夜私を含めて当てにしていた解説者がつかまらなかったこともあり、番組担当者は手当たり次第に声をかけたようで8人も呼んでしまい、結局4人に帰ってもらうという不始末をしでかすほどの混乱ぶりでした。

 計3時間の番組で私は言葉を慎重に選びながら、

「アフガン攻撃がいかに意味のないものであるか、いや逆にアフガンの人々にとってどれだけ非人道的なものであるか」

「攻撃を断行すれば、文明の衝突という結果を生み、世界を混乱させることになる」

「日本は、仲裁役を務めることがあっても、米国のサポート役にまわってはならない」

 などと発言しました。

 

 それからは連日TV出演。「ビン・ラーディンを筆頭とするアル・カーイダのメンバーが犯行グループであれば」という条件付きで、事件の背景を様々な観点から説明しました。アフガニスタンへの空爆や侵略には、私は一貫して反対しました。

 ところが、小泉首相(当時)がいち早くアフガン攻撃への支持表明を出したことで、永田町から日本全国がイケイケムードで包まれるようになり、私の声はその波に飲み込まれていきました。

 テレビ朝日の特番でご一緒した小池百合子氏(当時衆議院議員)も〝小泉イケイケチアガール〟で、アフガン攻撃の急先鋒とも言えました。しかし、忙しかったのでしょう。勢いのいいことを言う割には情勢分析がほとんどできておらず、重みに欠ける発言を繰り返していました。

 そのような解説陣を論破しても、私に日本の方針を変更する影響力があるはずもなく、日本は軍事行動にこそ加わらなかったものの米国支援にのめりこんでいきます。

 

 そしてその年の12月7日、米国の支援を受けた北部同盟と米国主導の有志連合とが首都カーブルを制圧しました。そして、本格的な「アフガニスタン戦争」と軍事占領が始まりました。

 それから米国は250兆円もの巨費を投じたものの、結果的には2500人の米軍兵士と約4000人の民間人契約者(多くは傭兵)には二度と祖国の土を踏ませなかった、つまりは命を犠牲にさせてしまいます。さらになにより、47000人の現地民間人の命を奪いました。

 こんな愚かな戦争を後押しした日本のTV局と解説者には深く反省をして頂きたいものですが、そんな声はどこからも聞こえてきません。〝911世代〟には反省能力さえないのかもしれません。ならば、TV報道に携わる〝911知らない世代〟には、当時の映像を引っ張り出してきて自局の報道を検証し、二度とこのようなことのないようマニュアル作りをして頂きたいですね。

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