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防衛研究所は講師派遣所?
今回のウクライナ戦争報道、特にTVでやたら目立つのが #防衛省防衛研究所 研究員の解説。皆さんはほとんど気が付かないでしょうが、何人もが入れ替わり立ち代り各局で解説しています。これはTV業界の友人(複数)の話だと防衛省からのある種の〝働きかけ〟があったからだそうです。具体的には、記者クラブの記者たちに防衛省の広報から「解説者候補リスト」が渡されたり、個別に声掛けがあったとのこと。
友人のひとりは「戦場ジャーナリストの中には問題発言をしたり、いい加減な分析をする人もいますからね。それに比べると、防衛研究所の方たちの解説は安定していて、安心して出演させられるんですよ」と言います。 確かに、専門家と言われる人たちの中には、勉強不足からくるいい加減な解説をする者がいます。「本当に現場を知っているの?」「政治の基本も分かっていないじゃないか!」と言いたくなる人もいます。
そんな人たちに比べれば、防衛研究所の皆さんの解説は確かに安定しています。知識も豊富です。
それはそうです。国家公務員である彼らはそれを仕事にして日夜勤しんでいるからです。
しかし、そこに私は二つの面で不安を感じます。
まず、防衛省の姿勢です。防衛省の本分は国の安全保障の精度を常に最高のレヴェルに高めておくことです。その一翼を担う研究所は研究に集中することが求められます。研究員たちは研究に専念すべきであって、それを広報するのは彼らの任務ではありません。
同研究所は、研究業務の他に国際交流や情報発信を任務としています。しかし、それらの業務、任務はしかるべき広報担当の人物に分担されるべきです。つまり、研究業務を担う人に、交流事業や情報発信などに関わらせるのはどうかと思うのです。 それに、このように国の安全保障の根幹に関わる人がTVに露出して顔を広く知られるのは、明らかに国益を損ないます。外国の諜報員の餌食になる可能性があるからです。
また、メディアも「使い勝手が良い」、「解説が安定している」からといってそれに安易に依存するのは危険です。 確かに同研究所の研究員の解説の内容は安定していますが「金太郎あめ」のように同じ内容の話が多く、そういう解説ならば大学や他のシンクタンクに所属する職員でもこなせます。メディアに求められるのは、問題の本質を多角的にとらえて分かりやすく問題を絵解きしてくれる解説者を探してくることです。政府からの働きかけがあるからといってそこに安易に乗るのではなく、メディアらしく多角的に解説するコメンテーターを起用すべきです。
東岡崎駅駅ビル
様々なドラマを生んできた岡崎の玄関口・東岡崎駅。皆さんも色々な想い出がありますよね?
その駅舎と店舗が入る駅ビルの老朽化が近年著しく、相次いで店舗が撤退、改築を要望する声が強くなっていました。
昨年11月15日、岡崎市と名鉄は、東岡崎駅の整備に関する基本協定を締結したと発表しました。今後駅舎、南北自由通路、バス・ターミナル、駅ビルが一体的に整備されることになります。
詳しい工程は発表されていませんが、2024年に駅ビル解体が始められ、2027年から新駅舎の建設開始の予定です。その後橋上駅舎は2028年、駅ビルは2029年の完成を目指すそうです。寂しさもありますが、〝岡崎の顔〟がどんな風に変わるかも楽しみです。
是が非でも、「家康公の生誕地」だけでなく、「平和の聖地」であり「江戸のふるさと」といったこの町ならではの要素も加えていただきたいですね。
映画『ベルファスト』
親しくしていただいている映画評論家の井上健一氏が紹介する映画『Belfast』は、60年代後半から70年代にかけて凄まじいゲリラ戦が繰り広げられた北アイルランドが舞台の作品です。
駆け出しのジャーナリストだったくにおみはその頃、ロンドンに住んでいました。北アイルランドにも何度か足を運び、カメラを何台も肩に掛けて恰好だけはカメラマン気取り。下手くそな写真を撮りまくっていたものです。まだ銃撃戦に慣れておらず、今思えばその腰は後ろに引けてへっぴり腰でした、おそらく。
それでも、動きだけは良かったのでしょう。現場で出会った写真家集団『マグナム』のブルーノから、
「動きが良いね。立ち位置が面白い。写真を勉強したことがない?そんなの関係ない。パリにおいでよ。一緒にやってみないか?」
と誘われました。一匹狼を気取る私はその誘いに乗る事はなく笑って聞き流しましたが、後になってすごい人に誘われたことが分かり、驚きと感動が体の奥底からじわじわと湧いてきたものです。彼の誘いに乗っていたら世界的なカメラマンになっていたかもしれませんね(笑)。
ブルーノに会ったのは50年前の1972年2月。前の週に起きた「血の日曜日」(英軍空挺部隊がデモ隊に発砲、14人の死者を出した)に抗議する大規模なデモが北アイルランドの国境の町ニューリーで予定されており、その取材に現地入りした時でした。
何軒かの民家に泊めていただき、アイルランドの庶民生活から見たフォトエッセイに取り組む視点もブルーノに高く評価されました。でも、結果は惜敗。フランスの写真誌『パリマッチ』などの英仏の雑誌に持ち込みましたが、いずれもいいところまでいったものの、私の写真や記事が陽の目を見ることはありませんでした。
朝日新聞の轡田記者にもお会いしました。数時間ご一緒する内、現地の子供たちに囲まれてサイン攻めにあったのは懐かしい思い出です。子供たちは初めて目にするアジア人に興奮。次々に持っていたノートにサインを求めてきたのです。
そんな楽しい出会いもありましたが、そこは紛争地。流血の事態には至りませんでしたが、北アイルランド、特にベルファストは重苦しい雰囲気の中に時折見せる緊張感がなんとも不気味で気の休まることはありません。
ウクライナ情勢を見ていると、その規模の違いはあるものの共通点が多く、同じヨーロッパ独特のどんよりとした気候から受けるものもあるためか、「北アイルランド時代」が鮮明に思い出されます。そして心が痛みます。被写体になっていただいた方たちのその後の人生はどのようなものかと気になってもいます。
そんな思いを吹っ切る、それとも想いに浸る?ためにこの映画を観ておきたいです。岡崎の映画館では観られないようなので名古屋まで行ってきましょう。