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ウクライナ情勢 漁夫の利
【ウクライナ情勢 漁夫の利】
この言葉は、当事者が痛み・苦しみを伴った争いをしているすきに(一方で)第三者が儲けることを指しますが、この戦争で利益を得るのは中国、と見るのが一般的です。確かに政治的にも経済的にも中国が得るものは大きいはずです。しかも、なんら一言も発することなく、一ミリも動かないでも得られるわけですから西側諸国の愚かさが際立ちます。
その他に大儲けをするのが復興業者です。戦争の規模が広がれば広がるほど、被害が甚大であればあるほど儲かるのが、戦後復興に携わる業者。彼らは今、「もっと激しくなれ。壊しまくれ」と戦況を見ていることでしょう。
よく「戦争は兵器産業の為にある」と言われますが、実は巨額の富を得るのは復興業者なのです。
私が現地取材した湾岸戦争(1991年)の〝後始末〟に天文学的な額のカネが使われたと言われています。クウエートだけで少なくとも1,000億ドル(約12兆円)かかりました。
請求書のほとんどは被害国のクウエートに送られましたが、石油を掘り出せばいいだけの話ですから深刻な問題にはなりませんでした。実際に新たに備え付けられた最新式の機械によって産出された石油が穴埋めをしました。
日本が〝領収書をもらえない〟135億ドル(当時の1兆7500億円)もの大金を多国籍軍に払わされましたが、これは復興資金とは別枠です。
戦後復興に使われる正確な数字はなくあくまでも推測ですが、米国が関わる戦争の復興の仕事の9割はアメリカの会社が請け負うとされています。他の1割を英独仏の業者が分け合います。ある日本人外交官の話では日本の業者に落ちてくるのは「2階から目薬」程度だそうです。
湾岸戦争で「正義の味方」を気取った米国ですが、一番恩恵を享受したのは、実はアメリカでした。
それは米国の経済成長率から見ても明らかです。
「4.18(1988年)→ 3.67(89年)→1.89(90年)→-0.11(91年)」と右肩下がりだったものが、湾岸戦争をはさんで一転、「3.52(92年)→2.75(93年)→4.03(94年)」と上昇に転じているのです。これはもちろん、復興事業から得た大金そのものではなく、これを契機にして経済が活気づいたことを指します。
今回のウクライナへのロシアの攻撃は限定的とはいえ、ロシア軍が撤退した後の復興にはインフラ再生を含めてやはり巨額の資金が必要となります。
では、それをだれが負担するのか?
もうお分かりですよね。今回はオイルマネーという〝打ち出の小づち〟は使えません。支援国が分担するしかないのです。
だから、びっくりするような額の請求書が経済規模の大きい日本政府に送られてきます。もちろんそれを支払うのは納税者である私達です。
こうして見ると、「何のための戦争か」「誰がやりたい戦争か」「得するのは/損するのはどの国か」「ウオーゲームに苦しむのはいつも民衆」などの戦争の実態が見えてきます。
湾岸戦争でも今回の戦争でもその構図は通底しています。
実は、おバカな独裁者が乗せられて切ってしまった火ぶたを見てほくそ笑む人たちがいるのです。
勉強不足の専門家達の浅薄な分析を、メディアやネットから毎日シャワーのように〝浴びせられている〟皆さんの参考になればと思いこれを書きました。ご家族で、友達とこの機会に意見を共有していただければ幸いです。
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ウクライナだけではないですよ
メディア報道やネット情報だけに目を奪われていませんか?
世界で行われている戦争はウクライナだけではないですよ。
エチオピアでは長年内戦が続いています。愛する家族を失い続けています。家を壊され続けています。
でも、ウクライナのように支援の手は伸びてきていません。食料すら事欠く状況です。
世界から忘れられています。
命をかけてヨーロッパに向かっても上陸する前に地中海で命を落とす人が後を絶ちません。また、上陸できてもヨーロッパの国からは入国を許されず追い返されています。
ウクライナ情勢を伝えるな、無関心でいろと言っているわけではありません。せめて、世界の他の地域で行われている戦争にも目を向けて欲しいのです。少しで良いから手を差し伸べて欲しいのです。
彼の地の人たちも同じ「地球市民」なのですから。
‘Trying to survive’: millions in Tigray face hunger as they wait in vain for aid, THE GUARDIAN
私の視点『ゼレンスキー大統領の国会演説を聴いて思うこと』
皆様ご存じのように、ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、日本の国会で、と言っても議事堂ではなく議員会館のホールでしたが、オンライン演説を行いました。
これについてさまざまな疑問が頭に浮かびました。
先ずは、なぜ国会の象徴である議事堂で行われなかったのか?ということです。
前例のない今回の演説だけに、何か意図的なものがあるのかとある国会議員に聞いたところ、お粗末なことに設備の問題だったとのことです。大型モニターが設置されておらず、持ち込むこともできなかったのです。
このITの時代に、〝技術大国〟を自負する日本の立法機関で、これまでモニター設置を考えたことも無かったとは驚きです。
また、嘘のような話ですが、その議員によると議場のフロアにアウトレット(コンセント←和製英語です、念の為)も無いそうです。
演説に向けて当然事務方による内容の打ち合わせなり、両首脳による話し合いが行われていたのだろうと思いましたが、何もしなかったとのこと。
立憲民主党党首の泉健太氏が、
「オンラインで映像を流せるから、全く調整なく認めるというのはあり得ないと思う」
「一般論として、どの国の元首・首脳が国会で演説する場合においても、それは当然、外交上のやりとりがあって、そういうものの中から演説原稿というものが作られてくるものだろうと認識をしている」
と自らのtwitterで書いていますが、まっとうな意見だと思います。
さて、演説の内容ですが、これまで欧米各国を相手に同大統領が行なってきたものとは一転、被ばく国であり、原発事故被害に苦しむ日本人の〝心〟に訴えようと計算されたものでした。「アジアのリーダー」でありたい日本人の心理にもくすぐりを各所で入れてきています。
ただ、この原発に関する指摘は、裏を返せば安全保障面から言うと「原発は危険」と言っているようなもの。逆効果なような気もします。
このような場合、通常はプロのスピーチライターが原稿を書きます。ゼレンスキー氏は自分で書いた可能性があります。
いずれにしてもあらかじめ書いたものを読むわけですが、さすが人気俳優です。読んでいるようには見せませんでしたね。瞳の動きを見れば分かることですが、全てアドリブであったり記憶していたものを〝演じた〟わけではなく、カンペを読んでいます。もちろんそれが悪いと言っているわけでは全然ありません。そう見せない彼のスピーチ能力の高さを評価しているのです。
「国連が機能しなかった」のは、何も今回に限ったことではありません。これまで何百回も多くの国や人々が痛感させられてきたことです。特に、アメリカが先頭を切って拒否権を発動したり、水面下で関係各国に圧力をかけて〝機能不全〟状態にしてきたことは、国際政治にかかわる者であれば知っていることです。
「これからも戦争をしたいという侵略者に対して、非常に強い注意が必要です。『平和を壊してはいけない』という強いメッセージが必要です。責任のある国家が一緒になって、平和を守るために努力しなければならないです」
という部分も〝なるほど〟となりがちですが、「責任のある国家が一緒になって」は、ゼレンスキー政権の場合、「NATO諸国が一緒になって」です。でも、それこそが今回の戦争を引き出した要因なのです。
NATOは平和同盟ではなく軍事同盟です。それを盾にパワーゲームをするのは、今回のように多くの危険を伴います。同政権が拙速にNATO入りを急がなければこのような事態を招くことはなかったのです。
ただ、頭脳明晰なゼレンスキー氏のこと。ここまでは読んでいたと私は見ます。
だから現在までの流れはほぼ彼の書いた筋書き通りだと私は推測するのです。
私がもしゼレンスキー大統領に質問する機会があればこう聞くでしょう。
「大統領閣下 あなたはチェチェンやクリミアで行われた戦争を通して見せてきたロシア軍の残忍さ、冷酷さを知らないはずはありません。独裁者・プーティン大統領を怒らせればどうなるかが分からなかったはずはありません。あなたは戦争をやりたかったのですか?大統領ですから自国民の命を危険にさらさないようにする義務があります。それなのになぜ危険な道を選んだのですか」と。